ゴッホは色弱だったと思います。(2)

ゴッホ色弱だったと思います。(2)

 

2005年12月に「NPO法人北海道カラーユニバーサルデザイン機構(北海道CUDO)」が設立され、私も設立者の1人として、色弱者本人として参加しました。その頃からゴッホ色弱ではないか?という説がありました。2008年にクリエイターの集まりでカラーユニバーサルデザインの話をしたときゴッホの絵をスライドでお見せし「もしかしたらゴッホ色弱だったかも知れません」みたいな話をしました。その後の懇親会でクリエイターの方々とお話をするとどうも「ゴッホの見え方」が彼・彼女らと色弱の私では異なっているようだと気づきました。もう一度スライドを確認すると「ひまわり」の絵や「夜のカフェテラス」の絵についてかなりの違いがありました。

 

簡単に言えば
多数派の色覚者にとっては「ゴッホの絵は奥行きがない」と感じられ、P型弱度の私には「それほど違和感はなく、奥行き感も感じられる」という違いでした。

どうやら、多数派のC型にとってゴッホは「平面的で大胆な色づかいの絵を描く画家」という認識のようでした。

今回はその二枚について書きます。

まずは「ひまわり」
C型にとっては背景とひまわり本体の奥行き感はあまり感じられません。むしろ背景の色の方が前に出てきてしまい違和感があります。ひまわりの花同士の重なり、立体感も今ひとつ感じられません。ところがP型弱度の私にはそれほどの違和感はなく普通に見えます。

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ひまわりをADOBE社のPhotoshopに標準で搭載されている「校正機能」でP型のシミュレーションを施しました。でも、この加工方法ではC型が見ると鮮やかさがなくなっただけで立体感も奥行きも感じられません。

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次に「夜のカフェテラス

この絵はC型が見ると、かなり明るく感じられ「まるで昼間のよう」に見えるそうです。ところがP型弱度の私には、夜の雰囲気があり、カゲもきちんと見えるし、奥行き感もあります。細かく見ていくと「中央右奥の赤いドレスの女性」がとても目立っていたり、右手の緑の木の色がまるで昼間のような色合いで鮮やかです。また、中央の黄色からオレンジは明るすぎて全体が照明されているように見えるとのこと。赤色を「カゲ」として扱うこともこの絵では何カ所かあります。左手の入口の柱のカゲが赤くなっていたり、右下の石畳に赤色が使われていますが、P型の私には「カゲ」として見える箇所もC型の人には「明るい赤」が大胆に使われていると思われます。C型にとってはとても鮮やかな明るい色合いですが、P型の私にはちゃんと奥行きのある「夜のカフェテラス」に見えます。

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これもPhotoshopに標準で搭載されている「校正機能」でP型のシミュレーションを施しました。でも、C型が見て立体感も奥行きも感じられません。ただ暗くなっただけに見えるようです。

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その時には伊藤光学社の色弱体験メガネ「バリアントール」が人気で、クリエイターさんたちは「おお、青と黄色が鮮やか」とか「世界が変わって見える」とか言って興奮して楽しそうでした。

 

私はすっきりしない気分でその時には「何とかゴッホ色弱だと証明できないものか?」と考え続けていました。

その(3)に続く